【イクラの知られざる能力（後編）】

皆さん、こんにちは。
Food Groove Japan 通信の大内です。
vol.13は読んでいただけましたか？
イクラって凄いですよね。
さて今回はイクラの知られざる能力の後編です。
お話はFood Groove Japan 機能性部会の高岡様。

〖イクラの知られざる能力（後編）〗

　Food Groove Japan 食の機能性部会の高岡です。
前回はイクラの知られざる能力（前編）ということで、天然のサケが厳しい環境を生き抜いてきたエリートであることや、イクラの中の機能性成分の「アスタキサンチン」について、マニアックなところも含めてご紹介させて頂きました。
今回はその後編になります。

　サケを食べれば天然のDHA・EPAを補うことができます。DHAやEPAは記憶力や学習能力を高めたり、血液をサラサラにしたりすることはご存じの方も多いかと思います。
自然の力ってほんと凄いですよね。

■イクラの機能性成分：オメガ３
　イクラにはアスタキサンチン以外にも「記憶力・学習能力」「血流改善」「免疫強化」「抗炎症」「毛細血管の強化」「自律神経バランス調整」「肥満抑制」などに優れた機能性成分「DHA・EPA」を始めとしたオメガ３がたっぷり入っています。
体内で合成することができないため、食事から摂取する必要性がある脂肪酸を「必須脂肪酸」といい、必須脂肪酸にはオメガ３とオメガ６の２種類あります。現代の食生活ではオメガ６が過剰に摂取され、それが原因でアレルギーや様々な炎症の原因になっています。そのため、オメガ３を積極的に摂取する必要があるのですが、イクラに含まれる必須脂肪酸のわずか5％がオメガ６、なんとオメガ３が95％と、オメガ３リッチで最高にヘルシーな食べ物なのです。

■イクラの機能性成分：PC-DHA
　また、イクラのDHAは他のDHAとはちょっと異なって優れています。通常のDHAは「中性脂肪（TG）」と結合して安定しているのですが、イクラのDHAは「フォスファチジルコリン（PC）」という優れた細胞膜のために必要だったり、神経伝達物質の材料になったり、乳化作用に優れていたりする成分と結合しています。細胞膜の質が高くなり、神経伝達がスムースに行われれば当然、記憶力や学習能力が高まります。
　さらにイクラのDHAには日中の記憶の定着させる時間「レム睡眠」のが増えることが分かっています。
イクラのDHAには記憶力、学習能力が高まる要素がたっぷりあるのです。
レム睡眠の量が増えることは「適切な睡眠時間の増加」と「睡眠リズムの調整」が伴うため、イクラのDHAは「睡眠の質を高める」効果もあります。
イクラのDHAは通常のDHAと同じように「内臓脂肪を減らす」「血液中の中性脂肪を減らす」「血糖値を減らす」効果も認められています。また、通常のDHAよりも吸収率が高いのも嬉しいですよね。消化・吸収力が衰えてきた高齢者の胃腸にイクラは優しい食品と言えます。

■細胞膜の質って何？
　イクラのDHAはフォスファチジルコリンと結合している特別なもので、フォスファチジルコリンは「細胞膜の質を高める」とサラっと書きましたが、細胞膜の質って何？って思いませんでしたか。細胞膜には質の良い細胞膜と悪い細胞膜があります。
　EPAを摂取していると細胞膜がしなやかになります。EPAが様々な炎症抑えてくれる成分に変わって、細胞がダメージを受けることから守ってくれています。DHAは赤血球の細胞膜を柔らかくする働きがあります。毛細血管は赤血球が通るギリギリ大きさのため、赤血球が柔らかく変形する必要があるのです。
しなやかに変形できる赤血球しか毛細血管を通って、身体の隅々に酸素や栄養を届けられません。DHAは赤血球の質を高めることもしています。DHAは脳の神経細胞の細胞膜の重要な成分です。脳の神経細胞膜の質が高まると物事を「スパスパと思い出す」ことができます。また、フォスファチジルコリンが酵素によって「フォスファチジルセリン」になると、更にスーパーに脳機能が活性化されます。
　質の悪い脂肪である「トランス脂肪酸」や「オメガ６」にはこのような機能性はありません。細胞膜の主成分は「脂肪」です。トランス脂肪酸やオメガ６を多く摂取しているとこれらで細胞膜が作られてしまうため、細胞膜の質が悪くなります。

■イクラの凄いところ：まとめ
〇イクラの必須脂肪酸の95％がオメガ３だった。

〇イクラのDHAは、
・細胞膜の質を高めてくれる。
・DHAは睡眠の質を高めてくれる。
・記憶力・学習能力に最高に良い
・内臓脂肪を減らす
・血液中の中性脂肪を減らす
・血糖値を減らす

〇イクラは吸収率が高く、高齢者の胃腸にも優しい。

　イクラのDHAがただものでは無かったことがお分かりいただけましたでしょうか。これらの効果のためにはイクラの軍艦巻き2貫～６貫食べる必要があります。
参考にした論文は毎日の摂取でしたが、流石に毎日イクラの軍艦巻きを６貫食べ続けることは難しいかと思います。
しかし、これからが旬のイクラをできる限り食べたい！と改めて思いました、

[文　FGJ食の機能性部会：高岡、 FGJ広報：大内］