【日本酒コラム】Vol.7「都内ではめったに飲めない?!対馬唯一の酒蔵に聞いた日本酒と焼酎のちがい/白嶽・やまねこ」長崎県・河内酒造

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2022年5月31日
fgj@admin
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FOOD GROOVE JAPAN日本酒コラム担当、日本酒好きの小林舞依です。

今回で日本酒コラムは7投稿目となります。

日本酒関係の部会も立ち上がり、さまざまなイベントを開催しているFGJ。皆様ぜひイベントにもご参加くださいね。

このコラムでは、日本全国にある1,400以上の酒蔵にバトンを渡す、酒蔵がおすすめする酒蔵のご紹介からできております。

今回お話をうかがったのは、長崎県対馬にある「河内酒造(かわちしゅぞう)」4代目・専務兼杜氏の伊藤真太郎氏です。

前回の「旭菊酒造」原田氏とは東京農大時代の先輩後輩の関係で、九州で再会を果たしたご縁とのことです。ぜひ最後までお読みください!

◼️31歳で杜氏、酒瓶に名前を刻まれる嬉しさと責任感

伊藤氏は大学卒業後すぐに蔵に入るため対馬に戻りました。大学在学中、対馬にいるお母様の入院を機に、いずれは帰ると思っていた想いに決心したと言います。

昨年の酒造りから杜氏になり、責任感も増えたそうです。2021年(R2BY)福岡国税局酒類鑑評会では「白嶽(しらたけ)純米大吟醸」が金賞を受賞。

「プレッシャーもありますが、自分の名前が刻まれているのを見ると嬉しく思います」と笑みを浮かべて話してくださいました。

◼️国境の島として日本遺産に認定された対馬

人口2万8,000人弱の長崎県対馬。日本の島の上位10島に入る対馬は、九州エリアの最北端に位置します。2021年には日本遺産「国境の島 壱岐・対馬・五島」として認定されています。島は上下2島からなり、その狭間には美しいリアス式海岸、原生林には天然記念物であるツシマヤマネコが生息しています。

◼️水源の森百選「鶏鳴の森」伏流水で仕込んだ、対馬唯一の酒蔵

「河内酒造」は、1919年(大正8年)の創業で、対馬唯一の酒蔵です。

創業自体は1919年ですが、それ以前に対馬で醸造していた方から河内辰次氏が譲り受け河内酒造所となり河内の名前になります。

その後一度は別の方に渡りますが、広島県にいた伊藤松太郎氏(曽祖父)が経営を任されることとなり、伊藤真太郎氏で4代続く酒蔵へと成長。1933年に河内酒造合名会社として法人化、2019年には河内酒造となってからの歴史だけで100周年を迎えました。

上記の通り広島県にゆかりがあるため、島内では作られていない酒米を使い酒造りを続けてきました。

「米は動かせるが、水は動かせない」と伊藤氏もおっしゃるように、対馬で100年以上酒造りをしてこれたのは、島の面積の約9割を占める山林に蓄えられた豊富な地下水を活かし、自然あふれる場所だったからだと言えます。

また、この地下水はやわらかい軟水であるため、発酵が穏やかで甘い酒に仕上がります。これが島民に長年愛される対馬の地酒です

◼️日本酒の代表銘柄「白嶽(しらたけ)」

「白嶽」とは、国の天然記念物にも指定されている対馬の霊山の名前です。

そんな白嶽の名をとったこの酒は、昔ながらの製法で造られ、甘口で飽きのこない味わい。島内でのシェアは8割を誇り、そのほとんどが島の中で飲まれてしまうため、島外で売られるものはごくわずかです。

「白嶽 生酒(なまさけ)」は甘口で、すいすい飲めるのが特徴。熱処理をしていないため要冷蔵のお酒です。飲み方は冷やで、フレッシュな味わいを楽しんでいただきたいと伊藤氏は話します。

「白嶽 純米酒つしま」はやや辛口。福岡県糸島産の山田錦を100%使用した、精米歩合60%の純米酒です。山田錦特有の上品な味わいが口の中で広がり、さわやかな後味が特徴。冷やも熱燗もおいしくいただけます。 水揚げ量日本一を誇る対馬の天然アナゴの白焼や刺身と合わせるのが絶品なのだそうです。

◼️この季節におすすめの一杯「にごり酒」

5月は新緑の季節。日差しがやや強くなってきて、冷たい酒をグッと飲みたい!この季節におすすめの一杯は、「白嶽にごり酒」をオンザロックで。上品な甘さと、にごりらしいトロッとしたテクスチャーが特徴の活性清酒。グラスいっぱいに氷を入れて、氷を溶かしながら飲みます。毎年売り切れ次第販売終了とのことなので要チェックです。

◼️天然記念物の名前をつけた焼酎「対馬やまねこ」

日本酒コラムですが、今回は河内酒造の約4割の生産を占める焼酎にも触れてまいります。

ちなみに対馬では密造酒のことを「やまねこ」といい、天然記念物の「ツシマヤマネコ」と掛けて前社長が命名。飲み方はロックや水割りで、またカクテルベースとしてもおすすめ。麦焼酎と米焼酎を8対2の割合でブレンドした珍しい麦米焼酎。あっさりとした味わいで、女性でも飲みやすいと好評。ヤマネコが描かれたラベルも可愛いです!

《今月の学びのコーナー》

◼️日本酒と焼酎のちがい

日本酒は、米・米麹・水を発酵させ、濾(こ)したお酒です。実は日本酒には「アルコール度数22%未満」「日本国内で造られたもの」という定義が法律で定められています。

日本酒は米から造られますが、焼酎は芋や麦などさまざまな原料から造られています。今回はこのちがいについて初歩の部分ではありますが、触れていきたいと思います。

ー 飲み方のちがい

日本酒は、ストレートで味わうことが多いでしょう。

冷やや熱燗と温度はさまざまで、凍らせて飲むみぞれ酒やオンザロックなど飲み方にも自由度が増してきました。

焼酎は、アルコール度数が25〜30%なので、ストレートよりも水割り、お湯割り、炭酸割りなど何かで割って飲むことが多いでしょう。

さつまいも、黒糖、シソ、といった原料の香味が豊かな「本格焼酎」はシンプルに飲まれる傾向にあり、果汁などを加えてサワーにするのは無味無臭に近い「甲類焼酎」です。

ー 日本酒は「醸造(じょうぞう)酒」、焼酎は「蒸留(じょうりゅう)酒」

日本酒と焼酎の明確なちがいは造り方で、日本酒は「醸造酒」、焼酎は「蒸留酒」と分類されます。

「醸造酒」とは、酵母の力でアルコール発酵させたお酒のことです。

ビールやワインもこの分類に入ります。日本酒は原料である米に糖分が含まれていないので、米のデンプンを糖化させてからアルコール発酵させたお酒です。

「蒸留酒」とは、醸造酒を蒸留させたお酒です。

蒸留とは、液体を蒸発させてできた気体を冷やして、再び液体に戻す作業のことをいいます。醸造酒には水とアルコールが混ざっているので、温度を上げていくと、沸点の低いアルコールが先に蒸発します。つまり、醸造酒を蒸留することで、アルコール純度がさらに高いお酒になり、こうして蒸留酒が造られます。泡盛、ウォッカ、ジン、ウィスキーなどもこれに分類します。

日本酒も焼酎も、日本を代表する和酒です。ぜひ、自分の好きな銘柄や飲み方を見つけてくださいね。


◼️酒蔵のバトン

このコラムでは、日本全国の酒蔵をつないで酒蔵がおすすめする酒蔵をご紹介してまいります。

次回、このバトンを受け取ってくださるのは、おなじ長崎県の森酒造場様です。いよいよ九州に行きたくなってきました!

次回もますます楽しみです!

〈インタビューご協力〉

河内酒造合名会社

長崎県対馬市美津島町鶏知甲490-1

専務・杜氏 伊藤真太郎

https://www.kawachi-shop.jp

取材・文:小林舞依

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