270年続く秩父の酒蔵で日本酒を学ぶ
ランチ後に向かった最後の訪問先は武甲正宗の醸造元の柳田総本店。
柳田総本店は江戸時代の創業で270年の間、秩父で酒造りを続けています。
この建物を建てたのは210年前。中に入ると濃い茶色の大きな梁に雰囲気を感じます。
出迎えてくださったのは長谷川社長、まずお酒の好みの話から始めてくださいました。
「うちは香りの強い酒を作りますが、皆さんには料理に合わせたお酒を楽しんで頂きたいと思います。大吟醸を飲みたい人は多いですね、美味しいですから。でも、実は味が強いので料理に合わせにくい面もあります。白身の刺し身に合うお酒は?とよく聞かれますが、高級な塩にすだちを少しかければ色々なお酒に合いますよ。」
埼玉は兵庫、京都、新潟、全国4位の日本酒生産量を誇る酒どころ。
武甲酒造では、平成の名水百選にも選ばれた武甲山の伏流水を使っています。
ミネラルの多い水で造る酒は発酵が盛んで辛い酒に向いているそうです。
先日は根岸さんの紹介で秩父の特別栽培米で作ったオール秩父産原料のお酒をつくり、6月の品評会で知事から賞を受け取ったとのこと。
酒を作るのは冬の間なので今は空いている酒蔵も見学できました。
建物の中に深めの井戸があります!
中庭では樋(とい)から水がとうとうと流れ出ています。これが武甲山の伏流水で、武甲酒造さんの仕込み水です。伊勢の式年遷宮にも奉納した冷たくて美味しい水を、空きボトルに入れて持って帰らせて頂きました。
酒造りで大事なのは水ももちろんですが、「いかに美味しいふかし米を作るか」だそうです。
そして麹。夏、保冷ポットに米麹を入れて一晩寝かせば麹水のできあがり。腸内環境を整える働きがあるそうですよ。
試飲の時間!
ボタンを押すとお酒が出てくる自動試飲機(?)にはずらりと武甲酒造さんのお酒が並んでいます。
武甲酒造は純米酒だけでも原酒、濃度を調整したものなど多くの種類を作っています。
純米吟醸では10俵の米を磨いて4俵にして使っているのが武甲酒造流。
酵母が生きたままの生酒。アルコール度高いので、肉やスパイシーな料理に合う無濾過の酒。
日本酒で作ったので梅のお酒「うめさけ」など瓶が並びます。
「今回は人数が多いので、グルグルと回りましょう」と長谷川さん。
試飲スタート!参加者みなで円になり、好きなお酒を小さなカップに取ったら円に戻り、円が1周する間に試飲し、また次のお酒を取るとても合理的な流れができました。
試飲を終える方は円から抜けるので、まるで椅子取りゲームをしているよう。
グルグル回り試飲をしながら、長谷川さんの説明を伺います。日本酒ハイボールを濃い酒で造っても美味しいこと、香りには「立ち香」「口中香」があるが、飲む時はそれが同時に感じられるなど教えていただきながら、みな楽しく真剣に味わっていました。
長谷川さんは言います。
「多くの人がお酒をブランド・種類・酒米などで選びますが、どの酒が美味しいと言う考え方ではなく、ぜひ料理に合わせて選べるように日本酒に慣れて欲しいです。自分に合うお酒を見つけてください。」
武甲酒造さんでは酒に使う麹を使った塩麹や辛味噌もつくっていて、酒器も含めておみやげ売場も充実。参加者は長谷川さんの商品説明を聞きながらそれぞれのおみやげを買い、ツアーはお開きに。
解散後も秩父の魅力にうっとり
解散時点ではまだ4:30頃。あるグループは秩父ホルモンをつついた後、この日ちょうど「寺坂棚田」で行われた幻想的な「かがり火」を見に行ってきました。
今回のツアーでは夏の秩父で生産者の皆様から学び、美味しい料理やお酒を満喫しました。
また次の企画も立てていますので、ツアー募集をお楽しみに!