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株式会社稲庭うどん販売 東海林洋樹様

株式会社稲庭うどん販売 東海林洋樹様

「地元秋田の稲庭うどんを知ってほしい」

職人のこだわりを日本全国に知ってもらい、その伝統をつなげていくため活動されている東海林さんにお話を伺いました。

株式会社稲庭うどん販売 代表取締役 

東海林洋樹(しょうじひろき)

創業昭和54年の同社に「全国に稲庭うどんを広めたい」という思いから、営業職として入社。今では日本三大うどんの一つとして有名になった稲庭うどんですが、30年前はまだ全国的に知られていませんでした。稲庭うどんを広く知ってもらうために日本各地の物産展に参加して活動営業してきました。縁あって約20年ほど前から自社製造・自社販売をスタートし、熟練職人とタッグを組んで現在は代表取締役として稲庭うどんの魅力を伝えています。

東海林さんは秋田県湯沢市のご出身。稲庭うどん発祥の地の隣町にあたります。幼い頃から身近にあった稲庭うどんの魅力を知って、味わってほしいと話します。

◼️稲庭うどんの魅力

日本三大うどんといえば、香川県の「讃岐うどん」、群馬県の「水沢うどん」、そして秋田県の「稲庭うどん」です。うどんの製法には大きく2種類あり、讃岐うどんや水沢うどんのような「切りうどん」と、稲庭うどんなどの「手延べうどん」があります。

稲庭うどんの特徴は、なんといっても“独特の稲庭食感”、ツルツルとした食感と喉越しの滑らかさです。手延べと聞くと素麺(そうめん)を思い浮かべる人も多いと思いますが、稲庭うどんは生地に油を使用しないので、ヘルシーである点も魅力の一つです。

また、一本いっぽん丁寧に手で延ばしているため、うどんの太さが微妙に異なっています。食べ飽きず、最後までおいしくいただけるのも、こだわり製法からくる稲庭うどん独特の魅力です。

◼️薄琥珀色の稲庭うどん

東海林さんの稲庭うどんは、古式製法を守る「匠の熟成 稲庭手業うどん」。特に、多加水熟成麺(たかすいじゅくせいめん)と呼ばれる、水分量が高い乾麺であることが特徴で、小麦粉に対して約60%の水分が含まれているとのこと。ラーメンなどでよく見かけるこの「多加水麺」とは、小麦粉に対して加える水の量が35%を超えるものを差し、プルプルもちもち食感や麺ののびにくさにも影響するそう。乾麺でこの加水率を実現できているということだけでもすごい技術。通常の乾麺が翌日には完成するのに比べ、のべ43時間熟成させ、完成までに4日間も時間をかけて、ゆっくりと熟成させると言います。

うどんと言えば白色ですが、東海林さんの稲庭うどんは、小麦粉と塩と水だけのシンプルな原材料なのに薄琥珀色をしています。その秘密は熟成。

イメージしやすいのはパンの発酵です。小麦粉に水を混ぜ、酵母が混ざり発酵がすすみ、白い小麦粉が黄色っぽい色に変化していく様子をみたことがある方も多いはず。

東海林さんの稲庭うどんは小麦粉に一晩寝かせた塩水を加えますが、工場にいる酵母たちのおかげで発酵し、熟成させることによって薄琥珀色に変化していきます。稲庭うどんを茹でると、この薄琥珀色が黄金色に輝きます。うどんでありながら発酵食品でもあるのが稲庭うどんです。

◼️課題は「歴史をつくること、歴史を守ること。」

約350年の歴史があるといわれる稲庭うどん。江戸時代には参勤交代の折に秋田藩の江戸献上品に選ばれ、明治時代には宮内庁御用達にもなっています。

現在では量産に特化した工場も増え、昔ながらの製法を続けているメーカーが減っているそうです。職人の技術を継承していくためにも、若い世代にも稲庭うどんの魅力を知ってもらうこと、その技術を継承し守っていくことに課題を感じていると東海林さんは話します。

また、消費者の声を取り入れ、オリジナルブレンドの国産小麦に切り替えることも研究中。今までは海外産の小麦粉を使っていましたが、より一層の安心安全を考え、2年半の研究を経て、いよいよこの秋に国内産小麦に切り替えるそうです。海外向けに販売しているものも、やはり日本産原材料の安心安全を期待されているという声もあり、切り替えに踏み切ったそうです。

安価な量産うどんと比較され『稲庭うどんは高い』と言われてしまうこともありますが、原材料にこだわり、製法にもこだわってつくられている稲庭うどんの一食当たりのコストは250円ほど。プチ贅沢にはピッタリの食材です。

◼️YouTubeをきっかけに、韓国の職人技紹介番組に出演!

韓国で20年続く番組から突然取材が来たそうです。日本では3番目の取材だそうで、稲庭うどん販売社のYouTubeチャンネルを見た韓国のテレビマンが、その職人技に感動し取材に至りました。韓国のテレビ番組は、近々、稲庭うどん販売社の公式YouTubeに動画がアップされるとのことです!

おいしさを最大限引き出すために、大切なことがあります。家庭用のガスの火力では一度に茹でられる量にも限りがあるため、説明書通り2〜3人前を茹でてほしいと話します。氷水で揉むと麺の表面が引き締まり、更においしくなります。輝くようなツヤ、絶品の喉ごし、コシの強さをご賞味ください。

◼️FGJで稲庭うどん作り体験ツアーを企画中

FGJではスペシャルな体験ツアーを企画中。秋田県に行ってみたい!おいしい稲庭うどんを作ってみたい!という方はぜひ一緒に行きましょう!詳細はFGJのSNSをチェックしてください。

取材協力:

株式会社稲庭うどん販売

代表取締役 東海林洋樹 氏

秋田県湯沢市川連町字大舘千刈24

https://www.inaniwa-udon.co.jp

取材:小林舞依