【レポート】FOOD GROOVE JAPAN バスツアー「銚子・神栖 日帰りの旅」

夏らしく暑くよく晴れた土曜日、 朝早い集合時間にかかわらず、皆さま早くからお集まりいただきました!!

「生産者と消費者を結ぶ」この旅は、魂が震える、食の旅。 作り手の「本気」に触れる、五感が目覚める最高の一日です。

▪️越田商店(神栖市)|“ものすごい鯖”は奇跡の味

ものすごい鯖を生み出すつけ汁は、50年以上も継ぎ足した奇跡のつけ汁。 これ以上溶けない塩分濃度で中に入っているのは塩と魚の髄と水分だけです。 「塩を枯らす」ことが美味しさの秘訣ですが、普通はそれでは腐っていくものです。越田のつけ汁は研究機関の調査によると、48種類の酵母が存在し、雑菌が入らない世界を作り出しているそうです。

参加者につけ汁の味見をさせてくれました。塩辛のようでありながら、塩が尖らず、旨みが圧倒的です。 普通の干物は焼くと縮みますが、 越田商店の干物は焼くとふっくらと膨らみます。 1日1500枚の鯖を半解凍の状態で捌く包丁は、使い手に合わせて包丁もまな板も形が違いました。 一日10回以上包丁を研ぐそうです。

「越田の鯖は、鯖、包丁職人、漁師、卸業者、技術、調理人、そして食べてくれる人たち、全てのみんながいるから続けられる」 「辛い時期を乗り越え続けてこれたのは何より食べてくれる人たちと支えてくれる人たちがいたから」 熱い想いと捌きの技術に、参加者の皆さまがどんどん引き込まれていました。

 

◼️銚子山十|「醤(ひしお)」に込められた土地の記憶

発酵の町・銚子で400年続く山十。 今回は室井醤司さんに代わり、娘さんがご案内くださいました。 仕込み中の大豆に触れ、匂いを嗅ぎ、実際の樽や銚子石の重しも見学させていただきました。 「醤(ひしお)」は大豆と大麦から麹を作り、1年以上発酵させる発酵調味料です。 東大寺の大仏建立時、職工さんたちの賃金として醤が手渡されたという記録が残っており、こちらの山十さんのひ志おは当時の醤に近いものです。

「日本人の発酵の力を保存食にしてきた知恵には頭が下がる」 「昔からの作り方では作れる量に限りがあるが、このひしおというものをずっと残していきたいと思う」 ゆっくりと発酵している醤の香りと、若き代表の娘さんのまっすぐな目がとても印象的でした。 お楽しみの試食では、クリームチーズにのせた醤を食べた参加者から「美味しい!」の声があちこちで聞こえてきました。 醤そのままも食べさせていただき、皆さま感動されていました。

◼️榊原豆腐店|“在来種×寄せどうふ”

豆腐屋がどんどん減っていく中、豆腐の美味しさを地域に伝え続ける榊原豆腐店さん。 通常は2種の大豆の寄せどうふを提供していますが、今回特別に、在来種“こうじいらず”100%の寄せどうふを朝から仕込んでご用意くださいました。 在来種の豆はその年によって取れる種類も分量も違うから、毎年同じものを大量に作るのは難しく、今回ツアーでの寄せどうふのお願いをしたところ、 在来種100%の寄せどうふも作って、ぜひ味比べして喜んでもらいたい、そんな嬉しいお声をいただき、お言葉にもちろん甘えました! 「今回使ったこうじいらずはこうじなど必要ないくらい甘い」 「寄せどうふは少し温めると風味が際立ちますよ」 「初めはそのまま味を味わって、もう一つの豆腐と味比べとして欲しい」 私はブレンド豆腐も(こちらはみやぎしろめとこうじいらずのブレンド)も十分甘いですが、こうじいらずのみの甘さに驚きました。 何もつけずにたくさん食べちゃいましたが、参加者の方からはひしおと合わせたら美味しくて止まらない!とのお話もありました。

榊原さんへご報告したら、とても喜んでいらっしゃいました! 参加した皆さま、特別バージョン、お味いかがでしたか?

▪️鍋店・愛友酒造・山中ストア|日本酒を“国酒”として背負う覚悟

最終目的地は、800種の地酒を扱う山中ストアさんの計らいで、発酵の里・こうざきの鍋店さんにて、茨城県潮来の愛友酒造さんも合流し、3社が集結いたしました。 鍋店さんの酒造りの動画を視聴してから、トークセッションに進む予定でしたが、 動画後は、参加者からの質問が止まらず、熱のこもったトークが続きました。 「日本酒は日本という国名がついた国酒である。」 「酒造りの蔵は大幅に減った。残された我々は背負って続けていかなければならない。」 「酒造りは年数が必要ないぶん、新しい挑戦ができる。」 「日本酒の今の流行りにのりすぎて、個性の出し方が難しくなっている。」 そう語る酒蔵の方々の姿に、伝統と革新の両方が宿っていると感じました。 その後は、試飲大会です。 愛友さんも鍋店さんもたくさんの試飲をご用意くださり、さらに発酵イベントでの数量限定の酒もご用意いただきました。 買い物タイムには日本酒はもちろん、酒粕やこうじ、酒粕アイスなども購入される方で列ができていました。

◼️帰りのバスは「くじ大会」で再び大盛り上がり!

FOOD GROOVE JAPANでご用意した景品だけでなく、各店からのご厚意も加わり、ひとり一つ以上の景品が行き渡るくじ大会となり、大盛り上がりでした。 試飲の残りの日本酒もプレゼントいただき、また参加者の徹さんのお手製の焙煎コーヒーも振る舞われました。 心配していた花火大会の渋滞もなく、帰りの車中からは花火が見え、海と花火と発酵と、、 皆さまの夏の良い思い出になりましたら幸いです!!

◼️FOOD GROOVE JAPANが繋いだもの

今回のツアーは1人参加の方も多かったですが、バスを降りた後もまだ輪になってお話しされている姿が印象的でした。 食は人をつなぎ、学び、感じ、支え合う関係をつくる。 FOOD GROOVE JAPANは、これからも “生産者と消費者を結ぶ”旅を続けていきます。