Food Groove Japan 通信vol.7は前回に引き続き「青魚のEPAとマグロのDHAって何に良くってどう違うのか」をお伝えします。
解説はFGJ食の機能性部会の高岡様です。
では、お楽しみください。
Food Groove Japan 食の機能性部会の高岡です。
前回は、魚に多く含まれるEPAを摂取ることは、血液をさらさらにする効果によって、動脈硬化のリスクを減らしたり、酸疲労を回復したり、肌も身体も生き生きとなれる可能性が高くなることや、その他のEPAの働きとして炎症を抑える、アレルギーを軽減させる、精神の安定、肌の潤い効果などがあるという話しをさせて頂きました。
また、EPAの摂取は「朝」が「より有効であることもお伝えさせて頂きました。
今回は魚に多く含まれる有効成分の1つ、DHAについて説明します。DHAもEPAと同様に体内で作ることができない「必須脂肪酸」の一つのため、積極的な摂取が必要な栄養成分です。
DHAにもEPA同様の血液をサラサラにする効果がありますが、DHAの最大の特徴は何と言っても「脳」に対する働きです。
DHAを多く摂取していると脳の細胞膜が柔らかくなり、情報伝達の効率が悪くなります。
つまり「すぐに思い出せない」状態になります。「あの人の名前なんだっけ?」「この部屋に何をしに来たんだっけ?」・・・完全にDHAが不足している脳細胞の持ち主です。
さらにDHAは脳の神経伝達物質を活性化する働きがあります。
脳の神経伝達物質が活性化していない状態ではたとえば、人の名前を思い出すのに、その記憶をしまっているところまで探しに行くのに5人で探しに行っているような状態です。
これではなかなか記憶しているところまでたどり着けません。思い出すのに時間が掛かってしまいます。
しかし、DHAを摂取して神経伝達物質が活性化した状態では、100人で探しに行っているような状態になりますので、記憶をしまっているところを早く見つけ出せるのです。
つまり、思い出すのが早いということになります。
DHAはこのようにして「記憶を思い出す能力」に深く関係しています。そして「認知症の人の脳では神経細胞のDHAが減少している」ことが知られています。
認知症の予防のためにもDHAを多く含んだ魚を毎日食べる習慣をつけたいものです。
EPA・DHAと同じオメガ3のαリノレン酸について少しお話しします。
αリノレン酸はエゴマ油や亜麻仁油に多く含まれています。αリノレン酸は体内でEPAやDHAに変化して働いてくれます。αリノレン酸の摂取で体内のEPAとDHAが増えます。
ちなみに、αリノレン酸→EPA→DHAと変化していくため、EPAの摂取でもDHAは増えます。
DHAはオメガ3の最終進化系なのでこれ以上変化することはできません。
αリノレン酸はEPAやDHAに変化していくものの、その変化効率は良くないため、EPAやDHAが多い魚を食べた方が直接的であることが分かっています。カナダのゲルフ大学の調査では、海洋由来のオメガ3のがん予防効果(腫瘍の発達及び増殖抑制効果)は亜麻仁や他の油よりも8倍強力であるとの報告があります。
このDHAも朝食の摂取が有効であることがわかっています。
【まとめ】
・魚に含まれるEPAやDHAには血液をさらさらにする効果がある。
・特にDHAは記憶力の低下を防ぐ力を持つ。
・EPAやDHAは朝の摂取が有効なため、朝食に魚を食べる習慣が有効である。
[2021.5.5 文 食の機能性部会:高岡、 広報:大内]