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【イクラの知られざる能力(前編)】

【イクラの知られざる能力(前編)】

皆さん、こんにちは。
Food Groove Japan 通信を担当する大内です。
東京オリパラも無観客ではありましたが無事終了。そして、9月末日に緊急事態宣言解除予定となり、人の動きも多くなってきたように思います。
しかしながら、まだまだ気を緩めるわけにはいきません。
個人個人でしっかりとコロナ感染対策をしていきましょう!!

 さて、Food Groove Japan 通信vol.13のテーマは「イクラ」
昔、私が築地のガイドツアーをしていた時にロシア人のご夫婦を案内したことがありまして、その際にイクラがロシア語だと教えてもらいました・・・(汗
赤いイクラがサケの卵、黒いイクラがキャビア。魚卵はすべて「イクラ」!!
 今回は赤いイクラのお話です。
しかも内容盛りだくさんなので2回に分けてです。
お話はFood Groove Japan 機能性部会の高岡様。
これを読んだら、翌日の食卓にはイクラが登場することでしょう!!

〖イクラの知られざる能力(前編)〗
 Food Groove Japan 食の機能性部会の高岡です。
秋です。これからサケの遡上が始まります。昔に比べるとサケの遡上のピークは後ろにズレてきているそうです。
日本人の食卓になじみ深いサケの一生を簡単に振り返りたいと思います。
サケが孵化して、川から海に出て、3年から5年経って、自分が生まれた川に戻ってきます。この間、どこで大きくなるのかというと、ベーリング海とアラスカ湾です。大荒れの海で有名なベーリング海は海水温度も低く、厳しい大自然の環境の中で生き抜くことができたエリートな0.2%のサケだけが産卵のために戻れます。
 ちなみにサケは自分の生まれた川の匂いを辿って戻ってくるので、雨が多く降った翌日は川の水が多く海に流れ込むために、サケも自分の川の匂いが多く海に流れ込むために多くのサケが遡上を始めます。川に入ってからのサケ漁は禁止されているので、雨の翌日は湾に押し寄せてくるサケで大漁が見込めるために、漁師さんにとって大切な日になります。
そんな大自然の中を生き抜き、漁師さんの手から逃れられたサケは自分の生まれた川に遡上して行きます。サケは川に入ると餌を一切食べません。というか、サケが食べていた餌が川には無いのです。そのため、産卵が終わるとメスは産卵床を数日守り、その生命を終わらせます。産卵し終えたサケの身はもう赤くなく、真っ白だそうです。サケが餌も食べずに遡上できる持久力は筋肉にアスタキサンチンをため込むことができるからと言われています。

 さてさて、今回はダイナミックな一生を過ごすサケの命の源、イクラの機能性成分に注目したいと思います。

■イクラの機能性成分:アスタキサンチン
イクラの美味しそうな赤い色はアスタキサンチンという成分の色です。
サケがアスタキサンチンを含むオキアミやエビを食べることで、卵であるイクラにもアスタキサンチンが蓄えられています。
アスタキサンチンは活性酸素のダメージから守る働きがある「脂溶性の抗酸化成分」です。抗酸化の力はビタミンEの1000倍ともいわれ、最強の抗酸化作用を持っています。

◇アスタキサンチンの伝わりづらいけど凄いところ
このアスタキサンチンの凄いところはいっぱいありまして、単に抗酸化作用が高いだけでなく、細胞膜と同じ長さのため、細胞の中で生まれた活性酸素も細胞の外からダメージを与えようとする活性酸素も、両方とも守ることができるのです。
おそらくこの凄さは通じないかもしれませんが、ホントに凄いんです。
アスタキサンチンはβカロテンやルテイン、リコピンといった脂溶性の抗酸化成分「カロテノイド」の一種なのですが、細胞の中も外も同時に守る力はアスタキサンチンだけにしかありません。
肌も、肝臓も、脳も、子宮も、血管などなど、全て細胞が集まって臓器を形成しています。その元となる細胞は全て「細胞膜」という「脂質」に覆われているのですが、ここに「アスタキサンチン・リッチ」な細胞膜と「アスタキサンチン・プア」な細胞膜では、圧倒的にアスタキサンチン・リッチの方がダメージから守られて、美容的にも、健康的にも健全な状態の肌や肝臓、脳、子宮、血管などでいられる訳です。

■アスタキサンチンの伝わりやすい凄いところ
実はこのアスタキサンチンは優れた抗酸化作用だけでなく、血流改善作用や抗炎症作用、コラーゲンを作る力などにも優れています。

<アスタキサンチンの主な働き>
・抗酸化作用
・抗炎症作用
・コラーゲン産生促進作用
・肌の表面の水分を保持作用
・皮脂の保護作用
・血流改善作用(コレステロール値)
・血管の拡張作用
・骨の形成促進作用
・脳機能改善作用(記憶力・脳疲労など)
・自律神経を整える働き

 この働きは、ほとんど女性の守り神とも言えるエストロゲンの働きと一緒でアスタキサンチンをちゃんと補っていると、更年期の女性は減少していくエストロゲンの働きをアスタキサンチンがカバーしてくれるため、更年期の症状が軽くて済むという特典もあります!
 もちろん女性に限らず、性別、年齢を問わずこの働きは作用してくれますので、エイジングケア成分としてはかなり上位に来る成分です。
スポーツ分野での研究も盛んで、東海大学陸上競技部の駅伝チームに所属する選手を対象とした臨床試験では、天然のアスタキサンチンの摂取が筋肉疲労の軽減に有効であることや、ランニングやジャンプなどで足底に加わる衝撃で赤血球が破壊されること(溶血)を防ぐ作用が確認されて、学会に発表されています。
 アスリートだけでなく、運動だけではなかなか戻せない加齢による筋肉の低下を、アスタキサンチン+運動によって優位に筋肉量が戻るというデータもありますので、老若男女問わず、私たちの身体で有効に機能してくれます。

イクラに含まれるアスタキサンチン量は0.87㎎/100gです。
アスタキサンチンの目のピンと調節機能改善や肌の保湿力アップのためには、イクラを毎日小さじ30杯が必要となります。これらのデータは高いお金が掛かる「臨床試験で結果を出すための量」だったりします。
必ずしも毎日これだけの量を食べなければならないという訳では無いのですが、アスタキサンチンは間違いなく様々な疾患の予防に役立つ成分の一つですので、毎日補うことをお勧めすます。

「アスタキサンチン・リッチ」な細胞膜を手に入れて、老化のスピードを速める活性酸素から守る身体になりましょう!

次回、イクラの知られざる能力(後編)では、イクラの知られざる能力「ただものではないイクラのDHA編」をお伝えします。
どうぞお楽しみに!!

[文 FGJ食の機能性部会:高岡、 FGJ広報:大内]