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【通信】酒粕の驚くべき美容と健康の機能性

Published on
2022年5月8日
fgj@admin
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Food Groove Japan食の機能性部会の高岡です。

先日Food Groove Japanアニメと日本酒部会の齊藤さん主催の酒蔵を見学するイベントに参加させて頂きました。その際に、「精米したお米にどのように水を浸透させるかによってお酒の味が変わってくる。お米を研ぐ時も専任のタイムキーパーをつけて秒単位でお米を洗っている」というお話しや、「糀を作る際には水が好きな糀菌に対してお米の表面に水分が多いとそこで満足してしまい、奥に菌糸を伸ばさないので、良いお酒ができない。いかに中に水分が多く、外に水分が少ない状態を作るかがポイント」などと興味深い話しをいっぱい聞かせて頂きました。

今回は「お米を研ぐ」ことからこだわっている日本酒。そんな大事に作られた日本酒に溶け込まなかった素晴らしい成分「酒粕」の機能性についてご説明します。

酒粕は日本酒を作る際にできた、日本酒に溶け込まなかった成分で、糀による「発酵の力」でお米に新たな命が吹き込まれてできた美容と健康成分の宝庫です。酒粕には水溶性や不溶性の食物繊維が豊富で、お腹の善玉菌が喜ぶ食品です。発酵することによってタンパク質や繊維質などの栄養成分が吸収しやすくなっているので、酒粕は胃や腸に優しい食品と言えます。

【酒粕のスーパー成分:レジスタントプロテイン】

酒粕には「レジスタントプロテイン」という不溶性のタンパク質が濃縮されています。このレジスタントプロテインという酒粕のスーパー成分は2つの働きがあります。

①食べた油とコレステロールを吸着して吸収させない働き

②腸内環境の改善

【酒粕を食べるとやせ体質に!?】

酒粕に含まれるレジスタントプロテインの食べた油とコレステロールを吸着して吸収させない働きよって、体脂肪率と体重を下げる働きが認められています。データを見る限り「激やせ」するような力は持っていませんが、血液検査によると「食欲を増すホルモンが減り、過食を抑えるホルモンが増える」傾向にあることがわかりました。その他血圧の安定や、血液中の総コレステロール値の低下、コレステロール胆石の抑制が期待できます。

また、腸内環境の改善する働きでは善玉菌が増えて悪玉菌を減らす腸内環境を作り出す有機酸がかなり増えることが分かっています。特に酢酸、乳酸、酪酸、プロピオン酸が増えていました。腸内細菌の変化を見ていると①善玉菌の代表格である乳酸菌とビフィズス菌が増え、②痩せている人に多く太っている人に少ないバクテロイデスが増え、③腐敗物質を作る悪玉菌に多いクロストリジウムが減る、という傾向が見られました。これは、酒粕に含まれるレジスタントプロテインの摂取が「痩せ体質」になっていくことを示しています。

レジスタントプロテイン750㎎相当になる酒粕50gの甘酒を3週間毎日飲み続けた試験では91%の人の悪玉コレステロールが低下し、58%の人の善玉コレステロールが増えました。このことから、酒粕を毎日摂取することが動脈硬化の予防につながる可能性があることがわかりました。

また、83%の人のお通じ量を増やし、67%の人お通じ回数を増やしました。酒粕を毎日摂取することで、お通じの改善につながります。

【酒粕の知られざる美肌効果】

さらに、酒粕を摂取する前と摂取3 週間後に頬の同じ部分を調べた結果、3週間後には肌の潤いが増え、キメも細かくなっていました。酒粕を毎日摂取することは、劣化していく肌の潤いとキメを整える働きがあります。ちなみに、肌のキメが整うと肌にツヤが出て、肌触りが良くなり、化粧のノリも良くなります。

そして、酒粕に含まれる最強の美容成分は前回のFGJ通信《日本酒の美肌効果》にも書きました皆さんが聞きなれない「α-EG」という「肌に潤う力を取り戻す成分」です。α-EGが肌の保湿機能を高めることと、肌のコラーゲンを増やす働きがあることが論文で発表されています。これは酒粕を食べても塗っても効果があります。もし、あの頃よりも肌のハリが失われているかも・・・と思うなら、試す価値ありです。

【酒粕を食べた時の美容と健康効果:まとめ】

 酒粕にはレジスタントプロテインという、コレステロール値を整え、痩せ体質に導き、お通じが快適になり、肌がしっとり、つややかになって化粧のノリが良くなる成分が含まれています。これらのデータはレジスタントプロテイン約113㎎の摂取によるものです。酒粕に含まれるレジスタントプロテイン量にはばらつきがありますが、平均的には0.22%というデータがありますので、美肌サプリメントと思って50g~60gの酒粕を毎日取り入れてみましょう!

【酒粕を使った甘酒のレシピ】
私が飲んでいる酒粕を使った甘酒のレシピですが、比較的硬めに絞られている酒粕の場合、酒粕200gに対して水を50mlから70mlくらい入れてブレンダーでクリーム状にします。そこに蜂蜜を60g~70g程度入れています。そのペースト状の甘酒の素は冷蔵庫に保管しています。1回の使用量は80~90gを目安にして、お好みの濃さに薄めてお召し上がりください。私の好みは200mlくらいの水で薄めています。

【酒粕甘酒はいつ飲んだら効果的なのか】
酒粕を摂取するお勧めのタイミングは、痩せたい、内臓脂肪を減らしたい、コレステロール値が気になるというお悩みがある方は油物を多く使っている食事の時がお勧めです。善玉菌を増やして、腸内環境を整えたい方は、ずばり朝の摂取がより効果的なのでお勧めです。どちらも気になる方は朝にも油の多い食事の時にも摂取しちゃいましょう。例えば甘酒にして1日2杯、3杯飲んでも問題ありません。

次回は酒粕を肌につけた時の美肌効果についてお話しさせて頂きます。

[文 FGJ食の機能性部会:高岡]

食の機能性部会&高岡部会長プロフィールはこちら