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株式会社 海藻開発コンブリオ 代表取締役 菊地幾代様

株式会社 海藻開発コンブリオ 代表取締役 菊地幾代様

専業主婦を経て、海藻ツルアラメの特性に魅了され起業した菊地さん。捨てられるだけの嫌われ者だったツルアラメを地域の特産品へ発展させました。地域経済の活性に役立ちたいとパワフルに話す菊地さんに、これまでのヒストリーや現在の想いを語ってもらいました。

ー菊地様のプロフィールをお伺いできますか?

青森県青森市に生まれ育ち、元々は会社勤めをしておりました。子どもが2人できてから10年間専業主婦をしておりまして、再度勤めに出て現在に至ります。

ー株式会社海藻開発コンブリオの事業内容を教えてください。

14年前に設立されました。設立のきっかけは、17年前大間町の「ツルアラメ」という海藻に出会ってからその魅力に取りつかれた事です。出会った当初は、団体職員としてツルアラメの研究開発をしておりましたが、そこが存続を辞める事になりました。その時、今私が諦めたら世の中からツルアラメがなくなってしまう。私がツルアラメを引き継いで発展させよう。と思い会社を創業しました。

嫌われ者の雑草から、人気な地域の特産品へ

大間は函館と対岸なので、良質な昆布がとれる地域です。ツルアラメというのは、大間町に20年前に突然生え、繁殖の仕方が特徴的です。ツルアラメという名前にもあるように、ツルのように岩に根を匍匐させていき、根からも新芽が出て倍に増えていきます。色んな所に繁殖できる力があるのが特徴です。

大間では、ツルアラメを食べる食文化がありませんでした。日本海沿岸の人たちは普通に食べていたのに、大間ではツルアラメは昆布やわかめの漁場を侵食し値の高い海藻が取れなくなるので「海の雑草」と呼ばれてました。

そこで、雑草と扱われていたところを地域の特産品として活用できないか、と生産開発に取り組み始めました。なかなか最初は理解されなくて大変でした。今では、5種類の海藻とブレンドしてお味噌汁にしたり、商品にはツルアラメを必ず入れて食べやすく加工をした商品を扱っています。他の海藻も使いますが、ツルアラメを外した商品は1つもありません。

ーなぜこの仕事をしようと思いましたか? 

漁業者にとって厄介者として扱われていたものを、特産品として今では色んな所で販売しています。お塩やサプリの原料にも使われたりしています。出来の悪い子ほど可愛い。というか(笑)みんなに嫌われているけど本当は大切な資源で、地域経済活性の1つになれればという気持ち1つで、今までやってきました。

ー菊地様が感じる業界の課題はありますか?

私は元々水産業界にいた人間ではなく食べる一方の人間でしたので、ツルアラメに出会ってから海藻の魅力に取りつかれ、色んな海藻も含めて独自で勉強しました。これは、何も知らなかったからできたと思うんですね。昔から生業としてやっている昆布業者の方はツルアラメに見向きもしませんでしたから。

名前を表に出さない業界人のプライド

課題としては、副産物として、原料の中に割合が少なく入っててもツルアラメの名前を出さない事ですね。ツルアラメが使われているにも関わらず表に出さない。それが昆布業界の人たちのやり方なんですね。表記をしない、という業界の人たちのプライドというのが、もどかしいところですね。皆さん知らないで美味しく食べてますからね。

ーその為に取り組まれていることはありますか?

2012年、ツルアラメの食べ方を一般の人たちに知ってもらおうと思い、「キッチンコンブリオ」というテイクアウト専門のお弁当屋さんを出しました。ご飯の真ん中に乗せる梅干しの代わりに、ツルアラメを刻んで味付けした昆布を乗っけていて非常に喜ばれています。そのように、食べ方の紹介をツルアラメの普及活動の一環として行っています。

また青森海藻コンシェルジュ協会も創りまして、海藻の普及活動に努めるため、テーマソングの作成や展示会に出たりしてツルアラメの魅力を発信しております。

ー消費者の方に伝えたいことを教えてください。

バランスのよい食事をすることによって身体の免疫力が高まります。「まごはやさしい」という言葉をキッチンコンブリオではキャッチフレーズとして扱っています。

ま→豆類
ご→ごま類
は→わかめや海藻
や→野菜
さ→魚類
し→しいたけ
い→芋類

これがバランスよくおかずに入ってると身体に優しくて美味しいものになる。それをコンセプトとして作っています。ぜひ、1品でもいいので毎日海藻を取りいれて頂いて、健康な身体になって免疫力を高め、コロナウイルスに負けない丈夫な身体をつくって頂きたいと思います。

ーFGJ会員の方が現地に行ったら、どんなことが楽しめますか?

大間町は青森から車で3時間半かかります。ですが、その現地に行く事が一番体験できることだと思います。波が強い時は、ツルアラメは打ち上げられています。その海藻を拾う事も可能です。大間といえばまぐろが有名な土地ですので、オオマンゾクというまぐろを美味しく食べれる食堂や民宿も沢山あります。現地のツルアラメを取って生業としている漁師さんにお話を伺う事や、町内を案内してくれる方もいますので、まぐろや海藻についての体験を沢山できると思います。

ー視聴された方へメッセージをお願いします。

聞いたこともない海藻を一生懸命馬鹿みたく(笑)17年間やり続けてきた私ですが、これからもツルアラメに拘って、もっともっと知ってもらえるように新しい取り組みをしながらツルアラメの魅力を広めていきたいと思います。

余談ですが、、、

ー大間はどんな魅力がありますか?

ウニ

6月あたりは、旨味がのってきたウニが本当に美味しいです。色んなお土産屋さんで、取れたてでげんこつ位のうにをそのままスプーンで食べれます!それも500円で!大間の人は豪快でもてなしの気持ちが強いんですね。私も獲れたてのあわびやうにをその場で食べさせてもらっちゃいました。(笑)

あわびやウニもツルアラメを食べて育っています。ウニを獲る時は、ウニかご漁といって、かごの中に餌を入れてウニをおびき寄せて獲るんです。そのエサは何だと思いますか?ツルアラメなんですよ!ツルアラメを食べて美味しく育っているんです。

温泉、大間牛、展望台

大間海峡保養センターには温泉があります。マグロの定食もやっていて美味しいですよ。大間は海だけでなく山もあるんです。山まぐろって何か分かりますか?それは牛です!大間牛といってそれもまたうまい。大間町を一望できる展望台があって素晴らしいですよ。案内もできます。

マグロ

大間に来てみたら海の雄大さに飲み込まれますよ。運が良ければ、水揚げしている300キロのマグロに対面することもあります!私は対面して写真撮ってもらいました(笑)

7月から生のマグロが水揚げされ、12月まで新種のまぐろが取れます。最盛期は、兜焼きが外で炭火で焼かれるのも見れますよ。赤身が美味しくてまぐろの香りが全然違います。生で食べれるのはその時期だけなのでぜひ行ってほしいです!

沢山体験していただいて大間町を観光していただけたらいいなと思います。絶対感動するはずです!

【アクセス】
〒030-0851 
青森県青森市旭町1丁目2-36
・飛行機:函館空港→津軽海峡フェリー 大間(約2時間)
・電車:東北新幹線 新青森駅→青森駅→大湊線 むつ市→大間(約1時間半)
・車:東北自動車道・青森東ICから、車で約3時間
【インタビューご協力】
株式会社 海藻開発コンブリオ
代表取締役 菊地 幾代氏
青森県青森市旭町1丁目2-36
TEL:017-752-8755
FAX:017-752-2475
URL / kaisoukaihatu-conbrio.com
取材:磯部麻美
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